下手の道具立て

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...... 2014年06月12日 の日記 ......
■ 小法師のこの献上物   [ NO. 2014061201-1 ]
小法師のこの献上物も、河原者たるエタがこれを勤めるようになってからの例かもしれぬが、しかし本来は声聞師も河原者も類を同じゅうしたものと解せられるのである。
なお言わば叡山の山法師、三井寺の寺法師、さては南都の奈良法師など、その他各地の諸大寺にあって悪僧というありがたからぬ称号を与えられ、円頂緇衣に太刀を帯びて戦闘に従事した僧兵なるものの中にも、本来は三善清行のいわゆる課役を避けて身を沙門に托した社会の落伍者等の、これらの諸大寺に隠れ家を求めたものが多かったに相違ない。そしてそれが時に声聞と呼ばれたことは、柳田君のつとに注目せられた叡山の将門堂の名がこれを示しているかに解せられる。たといこれらに声聞の名称がなかったとしても、前項に述べた声聞師の名義の考説にして誤まりなくば、これまた祇園の犬神人や東寺の散所法師、興福寺の唱門などと同じく、みな声聞師の同類であると言わねばならぬ。人あるいは犬神人や散所法師、興福寺の唱門などは賤者であって、僧兵等は地位のそれよりも高いものであったとの故障を提出するかもしれぬ。しかしそれは境遇の相違であって、本来俗法師であり、口に法を説かざる羊僧である点においては同一であらねばならぬ。そしてそれが同じく声聞の名を得るにあえて異議はなかるべきである。
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