下手の道具立て

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...... 2013年06月29日 の日記 ......
■ 先に怪みし家内は   [ NO. 2013062901-1 ]
 先に怪みし家内は彼の来りしよりもその用事の更に思懸けざるに驚けり。貫一は不在なりしかばこの珍き客来のありしを知らず、宮もまた敢て告げずして、二日と過ぎ、三日と過ぎぬ。その日より宮は少く食して、多く眠らずなりぬ。貫一は知らず、宮はいよいよ告げんとは為ざりき。この間に両親は幾度と無く談合しては、その事を決しかねてゐたり。
 彼の陰に在りて起れる事、又は見るべからざる人の心に浮べる事どもは、貫一の知る因もあらねど、片時もその目の忘れざる宮の様子の常に変れるを見出さんは難き事にあらず。さも無かりし人の顔の色の遽に光を失ひたるやうにて、振舞など別けて力無く、笑ふさへいと打湿りたるを。
 宮が居間と謂ふまでにはあらねど、彼の箪笥手道具等置きたる小座敷あり。ここには火燵の炉を切りて、用無き人の来ては迭に冬籠する所にも用ゐらる。彼は常にここに居て針仕事するなり。倦めば琴をも弾くなり。彼が手玩と見ゆる狗子柳のはや根を弛み、真の打傾きたるが、鮟鱇切の水に埃を浮べて小机の傍に在り。庭に向へる肱懸窓の明きに敷紙を披げて、宮は膝の上に紅絹の引解を載せたれど、針は持たで、懶げに火燵に靠れたり。 高級デリヘルsmiuseo_新浪?博客_Qing: ??生活 分享?趣

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