今晩女郎買いに行く事に決めていた春松はその事を一寸念頭においていった。女郎買いに就て権右衛門に一つの逸話があるのを春松は想い出した。――大分以前のことだが、権右衛門、伝三郎、三亀雄、春松の四人が商用で東京へ出掛けたことがある。東京の商人を軽蔑している彼等は従って銀座へも行かなかった。東京の商人とは、権右衛門一流の意見によると、――東京の工場で作った例えば機械なら機械を彼等は東京で買う事が出来ない。機械は全部大阪の商人の手を経なければ彼等の手にはいらぬのだ。東京の工場から大阪の商人へ、大阪の商人から東京の商人へ、その間には沢山の運賃と口銭が機械に掛かる。何故こうなるかといえば、東京の商人は目下三つの需要があれば三つだけ工場に注文するが、大阪の商人は三つの需要しかないのに十の注文をする。工場が製作品を全部大阪の商人に売りつける所以だ。東京の商人は向う先が見えない。――というのである。又銀座の商売人は殆んど資本を大阪の商人に借りているではないか。で、彼等は銀座へも行かなかった。が夜になると、伝三郎、三亀雄、春松の三人が、「さあ、之から東京の芸者を抱きに行こら」と権右衛門を誘った。「わしは宿で寝てる」三人は出掛けた。翌朝彼等が千束町から帰ってみると、権右衛門は居なかった。女中に聞くと、昨夜三人が出掛けた後でこっそり外出されましたとのことで、てっきり吉原か玉の井辺りへ出掛けたのだろうと推測された。果して、権右衛門は眠そうな照れ臭そうな顔で帰って来た。皆んなと一緒に行けば権右衛門が勘定を払わねばならぬ、それを嫌ってこそ/\と一人で安女郎を買いに行ったのであろうと、三人の意見だった。 高級デリヘル 渋谷|渋谷発の高級デリヘルASK s綸言汗の如し - VIEWST(ビュースト) |
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